ウェブアクセシビリティの基本的構成要素
Shawn Lawton Henry, W3C WAI
2005年5月9日
ワールドワイドウェブコンソーシアム (W3C)
- 国際的な, ベンダ中立のコンソーシアム
- ウェブの発展, 相互運用性, 普遍性を促進
- ウェブの中核的標準を開発: HTML, XML など
- 国際的なホスト機関
- 慶應義塾大学 (日本)
- MIT (北米)
- ERCIM (ヨーロッパ)
- 世界中に14のオフィス
- 合意に基づき多様な利害関係者がアクセシビリティに取り組んでいる唯一の産業コンソーシアム
ウェブアクセシビリティイニシアティヴ (WAI)
- 国際的フォーラム
- 多様な利害関係者
- 産業界
- 障碍者団体
- アクセシビリティ研究者
- 政府
- 教育機関
- 合意に基づく解決法
- W3C ワーキンググループ間の協力
- パブリックコメントの機会
- 障碍種別を越えた要求: 視覚, 聴覚, 身体, 認知, 神経など
WAI の活動
- W3C 技術におけるアクセシビリティ
- アクセシビリティガイドライン
- 評価
- 教育啓蒙
- 先進的研究開発
相互依存する基本的構成要素
出典: http://www.w3.org/WAI/intro/components
- 誤解: ウェブアクセシビリティは主にウェブコンテンツ制作者の責任
- 実際には, ウェブアクセシビリティは複数の構成要素の協調作業に依存している
- 各構成要素における改善はウェブアクセシビリティを大幅に改善し得る
- WAI のガイドラインはこれらの各構成要素を取り扱っている
構成要素間の関連 - コンテンツ

ウェブコンテンツ - ウェブページあるいはウェブアプリケーション内の情報を指し, 以下のものを含む:
- テキスト, 画像, 音といった自然情報
- 構造, プレセンテーションなどを定義するコードやマークアップ
構成要素間の関連 - コンテンツ制作者側

ウェブ制作者は通常ウェブコンテンツを作成するのにオーサリングツールや評価ツールを使用する
- 制作者 - コンテンツ制作者, デザイナ, コーダ, 執筆者など
(障碍を持つ制作者やコンテンツを提供するユーザを含む)
- オーサリングツール - ウェブサイトを構築するためのソフトウェア
- 評価ツール - ウェブアクセシビリティ評価ツール,
HTML 検証器 (validator), CSS 検証器など
構成要素間の関連 - ユーザ側

人々 ("ユーザ")
はコンテンツを入手し操作するためにウェブブラウザ, メディアプレイヤ, 支援技術,
その他の"ユーザエージェント"を用いる
- ウェブブラウザ, メディアプレイヤ, その他の "ユーザエージェント"
- (ある場合には) 支援技術 - スクリーンリーダ, 代替キーボード, スイッチ, スキャニングソフトウェアなど
- ユーザの知識, 経験, (ある場合には) ウェブを用いた適応戦略
- 各構成要素間には強い相互依存関係がある
- 例: 画像の代替テキスト
- 技術仕様は代替テキストを取り扱う
- 例えば HTML は画像要素 (
img
) の代替テキストを記述する属性
(alt
) を定義
- WAI のガイドラインはアクセシビリティ向上のために代替テキストをどう記述すれば良いかを定義
- 制作者は適切な代替テキストを提供
- オーサリングツールはウェブコンテンツ中に代替テキストを提供するのを可能にし, 容易にし, 促進する
- 評価ツールはコンテンツに代替テキストが存在するかをチェックするのを助ける
- ユーザエージェントは代替テキストへの対人・対マシンインタフェイスを提供
- 支援技術は様々な形で代替テキストへの対人インタフェイスを提供
- ユーザはユーザエージェントおよび/または支援技術からどう代替テキストを得られるかを知る
ある構成要素が貧弱なとき
ときには他の構成要素が「回避手段」を講じることで対処する事もできるが、しかし…
- 余計な手間がかかる
- アクセシビリティ全般にとって良くない
- しばしば実装されず, アクセシビリティに乏しい結果となる
- ときには回避手段が存在せず, 障碍を持つ人々にとってウェブサイトやページ, あるいは機能が使えない結果となる
貧弱なオーサリングツール
- 制作者はより多くの手間を要する
- アクセシビリティの高いウェブサイトが少なくなる
- 障碍を持つ人々はコンテンツを提供できなくなる
貧弱なブラウザ, メディアプレイヤ, 支援技術, あるいはコンテンツ

- ユーザはより多くの手間をかけることになる
- 例: 異なるアクセシビリティの問題を克服するために異なるブラウザや支援技術を用いる
- あるいは全くアクセスできない
アクセシビリティ機能の実装サイクル
- ある構成要素でサポートされていない場合, 他の構成要素がそれを実装する可能性は低い
- 例: 制作者はもしオーサリングツールがある機能をサポートせず,
ブラウザや支援技術の実装が一貫していない場合, それを実装しない
ある構成要素がサポートしている場合,
他の構成要素もそれを実装する可能性が高くなる:
- ウェブブラウザ, メディアプレイヤ, 支援技術,
その他のユーザエージェントがアクセシビリティ機能をサポートしている場合,
ユーザはそれを望み, 制作者はそれを実装する
- 制作者がアクセシビリティ機能を望む場合,
彼らはオーサリングツールがそれを簡単に実現できるように要求する
- オーサリングツールがそれを簡単に実現できるようにした場合,
制作者はそれを実装する
- ほとんどのコンテンツでそれが使われるようになれば,
制作者やユーザはユーザエージェントがそれをサポートする事を要求する
ワールドワイドウェブコンソーシアム (W3C)
のウェブアクセシビリティイニシアティヴ (WAI)
で策定されたガイドライン:
国際的な標準化の調和
次に来るもの: WCAG 2.0
質疑応答